2010年11月30日火曜日

11月27日号のフロントから




 東の空に冬の到来を告げる「オリオン座」が輝き始めた。ボロシリケイトグラス(耐熱グラス)作家・早川和明さん(27)の創作テーマは“宇宙”。ガスバーナーを使い、2500度を超える炎の中で制作された作品をのぞくと、そこには幻想的な宇宙の神秘が宿る。

 4年前、曾祖父が建てた築100年余の土蔵に、工房「Sow GLASS」を設立した。Sowは早、創、奏、想などたくさんの思いを込めたネーミング。英語では「種をまく。流布する」の意味で、「ガラスを通じて、人々に感動の種をまくのが、僕の仕事」と早川さん。

 掲載作品の蓮のオブジェ=写真右=は“宇宙にひとつだけの花”。泥の中でも花を咲かせる蓮をイメージして、苦難に負けず自分らしい花を咲かせてほしいという願いを込めている。

 「心は宇宙よりも広い」。この言葉を制作の最も大切な心構えとし、ガラスの中に小宇宙の不可思議な世界を表現する早川さん。今秋の第30回記念長野工芸展で、審査委員賞に輝いた。