2010年11月22日月曜日

11月20日号フロントから



 重厚なピアノの旋律に乗って筆が躍る。力強く波打つ線、優雅に伸びる直線、穏やかな曲線。一つ一つの線に情感がこもり、物語を紡いでいく。
 書道家・長谷川明扇さん(50)=富竹=にとって、ピアノとの共演は初の試み。一つの音、一節のメロディーがどんなイメージを呼び起こすのか—。リハーサルで見せた表情には、新たな出合いへの期待があった。

 高校卒業後、手島さんが校長を務める日本書道専門学校に進学。古典を徹底的に学ぶ一方で、東洋の精神性と現代的な感覚を融合させた創作文字「象書」を知る。会社員を経て40歳で独立。現在は市内などで書道教室を主宰しながら、海外公演や舞台などのパフォーマンスを積極的に行う。
 200人を超える教え子の半数が中学生までの子ども。「基本を大切にしながら、自由に表現する楽しさも伝えたい」。広がる可能性を前に、使命を感じている。